予定のない週末の夜。外へ出るほどではないけれど、いつもの夕食をきちんと考えるのも少し違う気がする。
そんな日は、冷蔵庫を開けて、パンやチーズ、野菜を少しずつ出してみる。今夜は、きちんと献立を決めなくてもよさそうだ。
予定のない夜は、冷蔵庫にあるものから始める

「今日は、何にしようか」
夕食どきになってから冷蔵庫をのぞく。チーズが少し。昨日使った野菜も残っている。パンもある。
何か一品を決めて、それに合わせて献立を考えるのではなく、今日はそのまま食卓へ出してしまう。
チーズは切って小さな皿へ。野菜も食べやすいように少しだけ。パンは籠に入れるほどでもなく、そのまま皿に重ねた。
「これで飲みながら食べればいいか」
そう言うと、夕食を作っているというより、好きなものを少しずつ集めているような気分になってくる。
冷蔵庫に戻って、ほかに何かないかともう一度見る。けれど、無理に品数を増やす必要もなさそうだ。
食べたいものがあれば、あとから出せばいい。
ローストビーフを一皿加えると、いつもの食卓が家バルに変わる

そこへローストビーフを切って一皿に盛る。
何品も料理を増やしたわけではない。それでも、パンやチーズ、野菜と並ぶと、さっきまで冷蔵庫の残りものだった皿まで、少しずつつまむための料理に見えてくる。

「パンと一緒でもよさそう」
一切れ取ってみる。にんにくやオリーブ油を使ったシンプルな味わいで、パンの隣に置いてもすっと馴染む。
チーズを合わせたり、野菜を添えたり。そのまま食べたり。
決まった食べ方がないぶん、「次はこれと一緒に」と手が伸びる。
「この野菜も出そうか」
食べながら冷蔵庫からもう一皿増える。けれど、料理を追加しているという感じはあまりない。
少し食べて、少し話す。グラスを置いて、また一切れ取る。
気づけば、いつもより長く食卓に座っていた。
次の予定のない週末の夜は、冷蔵庫にあるものを少しずつ並べて、ローストビーフを一皿。献立を決めない夜を、そのまま楽しんでみてもよさそうだ。