離れて暮らす親子で、同じ一冊を少しずつ聴く

別々の自宅で、母親は食器を片づけながら、娘はソファでくつろぎながら同じ音声作品を聴いている。

離れて暮らす家族との電話は、近況をひと通り話すと、少しだけ間が空くことがある。

そんなとき、二人で同じ物語を聴いていれば、「最近どう?」に加えて、登場人物や続きについて話せるようになる。

離れていても、それぞれの時間に同じ一冊を聴く

自宅のダイニングテーブルで、女性が母親と一緒に聴く音声作品をスマートフォンから選んでいる。

「次は、これを聴いてみない?」

メッセージに作品名を一つ添えて送る。以前からどちらかが気になっていた作品でも、短いあらすじを読んで二人が面白そうだと思ったものでもいい。

大切なのは、同じ日に始めることではなく、二人で同じ一冊を選んでおくことだ。

親は夕食後の片づけをしながら、子は通勤途中や寝る前に。それぞれが空いた時間に再生できるから、「今夜一緒に聴こう」と予定を合わせなくてもいい。

洗濯物を畳んでいるうちに一章。散歩の途中でもう少し。普段あまり本を開かない人も、耳からなら、家事や移動の途中で続きを楽しめる。

数日たつころには、ふとした空き時間に、「あの人はもう、どこまで聴いただろう」と思うようになる。離れていても、二人が同じ物語の続きを待っている。

同じ場面でも、親子で違う感想が見えてくる

自宅のリビングで、母親がビデオ通話の娘と同じ音声作品の感想を話している。

ある日、親から短いメッセージが届く。

「今、あの人が出てきたところ」

どの場面を指しているのか、すぐに分かる。

「そこまで進んだんだ」
「私は、あの人が少し怪しいと思う」
「え、私は逆だと思った」

同じ場面を聴いても、気になった人物や心に残った言葉は少しずつ違う。その違いを話していると、普段の近況報告では見えにくかった相手の考え方が、ふと顔を出す。

一方が先に進んでいても、急いで追いつかなくていい。「その先はまだ言わないで」。それも、二人だけの小さな約束だ。

電話を切る前には、「続きが気になるね」のひと言。次に連絡するときは、どこまで話せるだろう。そんな楽しみが残る。

一冊の感想が、次に聴く楽しみへつながる

女性が自宅のソファで母親とビデオ通話をしながら、タブレットで次に聴く音声作品を選んでいる。

最後まで聴き終えた日、物語について話していたはずが、いつの間にか昔の思い出へ話が移ることがある。

「この場面、前に一緒に行った場所を思い出した」
「そういえば、あのときも同じことで意見が分かれたね」

物語の中の出来事が、二人の記憶を連れてくる。離れて暮らしていると、毎日の出来事をすべて話すことはできない。それでも、同じ一冊を聴いたことは、次に話すときにも二人だけの話題として残っている。

感想を話し終えたら、次は何を聴くかを相談する。今度は少し明るい話にするか、前から気になっていた長編に挑戦するか。

一冊を聴き終えることが区切りではなく、次の会話の始まりになる。

次に家族へ連絡するときは、二人で少しずつ聴けそうな一冊を選んでみよう。