休日の夕食。いつもなら選ばないものを、今日はあえて食卓にのせてみる。
マトンには、少し身構えるようなイメージがある。香りが強そう、クセがありそう。だからこそ、実際のところはどうなのか、自宅で気軽に確かめてみるのも面白い。
「クセが強そう」と思いながら、まずは焼いてみる

袋から取り出した肉を焼き始めると、食卓の空気が少し変わる。
「マトンって、やっぱり匂いが強いのかな」
そんなことを話しながら、焼けるのを待つ。これまで何となく避けてきたぶん、味を知る前から自分の中にできあがっているイメージがあることにも気づく。
外で注文するなら、わざわざ選ばなかったかもしれない。でも自宅の夕食なら、少し気になっていたものを試すにはちょうどいい。
今回食卓にのせたのは、ラムではなくマトンが中心のセット。だから今夜は、気になっていたマトンそのものをちゃんと味わってみる。
焼けてきた肉を見ながら、最初の一枚をどちらが食べるか、少しだけ譲り合う。ほんの一口なのに、いつもの夕食より少し慎重だ。
一口食べて、想像していたマトンと比べてみる

まずは一枚。
噛んでみると、食べる前に想像していた「かなり強い味」とは、少し印象が違う。
「思ってたより普通に食べやすいかも」
そんな一言が出ると、もう一枚にも自然に箸が伸びる。
口にすると、果汁やスパイスを使った味付けも重なって、最初に気にしていたマトンの香りばかりを探すような食べ方にはならなかった。
もちろん、感じ方は人それぞれ。それでも、食べる前に頭の中で想像していたものと、実際に口にしたものを比べるだけで、夕食にちょっとした面白さが生まれる。
「もっとクセがあると思ってた」
「私はこのくらいなら全然あり」
そんな短いやり取りも、実際に食べてみたから出てくるものだ。
「思っていたのと違う」が、ひとつの発見になる

食事が進むころには、最初の一枚を前にした慎重さはもうあまり残っていない。
だからといって、「マトンが大好きになった」とまで言う必要はない。
ただ、「自分が思っていたマトンとは少し違った」。それだけでも十分に新しい発見だ。
食べたことが少ないものほど、味そのものより先にイメージだけが大きくなることがある。クセがありそう、苦手そう。そう決めていたものを、一度自分の舌で確かめてみる。
すると、好き嫌いとは別に、「これはこういう感じなんだ」と自分なりの答えがひとつ増える。
いつもの夕食に必要なのは、大げさな挑戦ではない。少し気になっていたものを一つ食卓に置いて、想像と実際を比べてみる。そのくらいなら、また別の食べ物でも試してみたくなる。
次にマトンを食べる機会があったら、口にする前に「どんな味だと思っているか」を一つだけ言葉にしてみる。
食べる前の予想と、最初の一口が同じだったか、違ったか。そんなふうに比べてみたくなるマトンが食卓にあれば、いつもの夕食にもひとつ話題が増えそうだ。