20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
ふと家族の顔が浮かんでも、これといった用事がなければ、電話はまた今度になりやすい。
そんな夜のきっかけを、一本の焼酎に預けてみる。
焼酎を贈ると、家族と過ごす予定まで生まれる

離れて暮らす親やきょうだいへ贈り物を選ぶとき、喜んでくれそうな顔を思い浮かべる。
けれど、荷物が届いて「ありがとう」と連絡をもらえば、そこでひと区切り。うれしいはずなのに、少しだけ物足りない。
本当は、品物を届けたいだけではないのかもしれない。久しぶりに顔を見て、取り留めのない話をしたいのだ。
地域の蒸留所で造られ、品評会でも評価された焼酎なら、何でもない週末に贈る一本にも理由を添えやすい。
「これ、届いたら土曜の夜に一緒に飲まない?」
返事は思ったより早かった。
「夕飯のあとなら大丈夫」
「じゃあ、八時ごろに」
決めたのは、飲む日と時間だけ。それでも、カレンダーの土曜日が少し違って見える。焼酎を贈ったことで、家族と顔を合わせる予定も一つできた。
同じ一杯が、近況や思い出を話すきっかけになる

約束の時間に通話をつなぐと、画面の向こうにも同じ瓶が置かれていた。見慣れた家の食卓に、自分の手元と同じものがある。それだけで、離れている距離が少し縮まったように感じる。
片方は水割り、もう片方はお湯割り。飲み方は違っても、グラスを上げるタイミングは同じだ。
「どんな味?」
「思ったよりやわらかいね。そっちは?」
香りの感じ方、食事との合わせ方、次に試してみたい飲み方。詳しい言葉を知らなくても、思ったことをそのまま話せばいい。同じ感想には「やっぱり」と笑い、違う感想には「どうしてだろう」と興味が湧く。
産地の話をしているうちに、昔の旅行がふいに浮かんだ。
「あの辺り、前に車で通ったよね」
「雨がひどかったときでしょう」
忘れていた場面が一つ戻ると、話はそこから勝手に続いていく。最近食べたもの、近所の様子、仕事の忙しさ。普段なら「変わりない?」で終わる近況が、今夜は少し具体的だ。
言葉が途切れたら、ひと口飲む。沈黙を急いで埋めなくても、画面の向こうにも同じ間がある。電話というより、離れた食卓で一緒に続ける晩酌に近かった。
残った焼酎が、次に連絡する理由になる

気づけば、予定していた時間を少し過ぎていた。グラスは空に近いが、瓶にはまだ焼酎が残っている。
「次はお湯割りにしてみようかな」
「じゃあ、また来週でも飲む?」
次に連絡する理由は、もう目の前にあった。新しい話題を探さなくても、今日の続きから始められる。
通話を切ると、部屋は急に静かになる。食卓には飲みかけの水と、少し軽くなった瓶。けれど、さっきまでの会話まで終わった感じはしない。今度聞こうと思ったことや、次は誰を誘おうかという話が残っている。
贈った一本は、受け取った瞬間だけのものではなかった。開ける日を合わせたことで、次に顔を合わせる約束も自然に生まれていた。
次の週末は、離れて暮らす家族に声をかけて、同じ一杯を囲んでみませんか。