食べたい人から取っていく「カニしゃぶ」を、休日のゆっくりごはんにする

4人で卓上鍋を囲み、むき身のカニをそれぞれ自分のタイミングで鍋にくぐらせながら食事をしている。

休日の夕食くらい、作る人も食べる人も同じペースでいたい。

そんな日は、鍋のそばにむき身のカニを並べて、食べたい人が自分の分をその都度しゃぶしゃぶする。料理を完成させてから席につくのではなく、食卓の上で少しずつ仕上げていく夕食だ。

食べたい人から、自分のカニを鍋にくぐらせる

食卓に並んだむき身のカニを一人が取り、卓上鍋へ自分の分を入れようとしている。

湯気の立つ鍋の横に、食べる分のカニを置く。

「先に食べていい?」

そう言って一人が手を伸ばし、脚肉を鍋へ。少し待って引き上げると、それを見ていたもう一人も自分の分を取る。

全員分をまとめて鍋に入れるわけではないから、誰かが「そろそろ食べて」と声をかける必要もない。食べたい人が、食べたいときに一つずつ。

むき身のカニなら、鍋から引き上げたらそのまま自分の皿へ。殻を外すために手を止めることもなく、次の人も自然にカニへ手を伸ばす。

誰かが取り分けるのを待つのではなく、自分で一口を仕上げる。その気楽さが、休日の食卓によく似合う。

火の通し方を変えると、それぞれの好みが見えてくる

カニを鍋から引き上げる人と、もう少し火を通しながら食べ方について話す人たちが食卓を囲んでいる。

二巡目あたりから、鍋に入れている時間に少しずつ違いが出てくる。

「私はこれくらいが好き」
「もう少し待ちたいな」

隣の人が早めに引き上げるのを見て、今度は自分も少し短めにしてみる。反対に、しっかり火を通した一口を気に入って、次も同じくらい待つ人もいる。

同じ鍋を囲んでいても、仕上がりは一人ずつ違う。

それを比べるのも、この食べ方の面白いところだ。

「そっちはどうだった?」

そんなひと言から、それまで何となく食べていた好みが言葉になる。誰かの正解に合わせるのではなく、自分の好きなところを探しながら食べていく。

カニしゃぶというと少し構えてしまいそうなのに、やっていることは案外自由だ。

作る人も一緒に座って、最後までゆっくり食べられる

食事が進んだ卓上鍋を囲み、全員が席に座ったままカニを食べながら会話を続けている。

食事が進んでも、鍋の前に付ききりになる人はいない。

カニが欲しくなった人は自分で手を伸ばし、鍋へ入れる。その間に別の人が話し始めれば、箸を止めて聞いていてもいい。

食べる速さがそろっていなくても困らない。

「次、もう一つ食べようかな」

そんな声が出るころには、最初に並べたカニもだいぶ少なくなっている。それでも食卓の空気はせわしなくならず、話しながらもう一口、という時間が続いていく。

せっかく少し特別なものを食べるなら、用意した人まで途中で席を立ち続けるより、同じところに座っていたい。

気づけば、用意した人も同じ席で箸を動かし、話の続きを聞いている。自分の分は自分でしゃぶしゃぶする。それだけで、最後までみんなが食卓にいられる。

次の休日は、食べたい人から一つずつ、自分の好きな加減でしゃぶしゃぶしてみたい。鍋の横にそのまま並べられるむき身のカニなら、どんなものがあるだろう。