夕食のテーブルに、ずわい蟹とたらば蟹を一緒に並べる。せっかく二種類あるなら、今日は少しずつ食べ比べてみたい。
「どっちが好きかな」と話しながら始めれば、いつもの食事にひとつ楽しみが増える。
ずわい蟹とたらば蟹を並べて、食べ比べが始まる

大皿に並んだ二種類の蟹を前にすると、自然と手が伸びる先にも少し迷いが出る。
「まず、こっちから食べてみる?」
ひと口食べたら、今度はもう一方へ。どちらも蟹なのに、続けて食べると同じではないことが分かってくる。味の感じ方も、身を口に入れたときの食感も、それぞれに違いがある。
最初はただ好きなほうを食べていた家族も、いつの間にか隣の皿が気になってくる。「そっちはどう?」。二種類が同じ食卓にあるだけで、夕食が少しずつ食べ比べの時間に変わっていく。
味と食感を比べると、それぞれの「好き」が分かれてくる

食べ進めるうちに、感想も具体的になってくる。
「私はこっちのほうが好きかも」
「え、私は反対」
誰かのひと言を聞いて、もう一度食べ直してみる人もいる。自分では気にしていなかった違いも、人の感想を聞くと確かめたくなるものだ。
二種類を同じ食卓で続けて食べていると、さっき食べたほうとの違いも意外と覚えている。どちらが上という話ではなく、好みが人によって分かれるところがおもしろい。
普段なら「おいしいね」で終わるところに、「どこが好き?」「こっちの食感のほうが好み」と、もうひとつ会話が加わる。食べることと話すことが、そのまま続いていく。
家族の「どっち派?」が見えて、次に食べたい蟹も決まってくる

大皿の蟹が少なくなるころには、なんとなく家族の好みも見えてくる。
同じほうを選んだ人がいたり、きれいに意見が分かれたり。最初に選んだものと、最後に「好き」と思ったものが違う人もいるかもしれない。
そこで聞いてみる。
「次に食べるなら、どっち?」
「次はこっちを多めに食べたい」
「いや、また両方あったほうが楽しい」
食べ終わる前から、もう次の蟹の話が始まっている。
同じ食卓を囲んでいても、選ぶほうは案外ばらばら。その違いが分かると、次に蟹を並べるときの楽しみもひとつ増える。
ずわい蟹とたらば蟹、家族ならどちらが好みになりそうか。食べ比べてみたくなったら、まずは二種類の蟹を見比べてみる。