今日はカニを食べる日。けれど、一皿を最後まで同じ食べ方で楽しむのではなく、夕食の途中で少しずつ食べ方を変えてみる。
いつもの食卓でも、「次はどう食べよう」と考えるだけで、夕食の楽しみが少し先まで続いていく。
まずは刺身で、カニそのものの味を楽しむ

食卓に並んだカニを前にして、まず手を伸ばしたのは刺身だった。
刺身用のずわいや紅ずわいを、一口ずつそのまま味わう。冷たい身のやわらかな食感と甘みを確かめるように食べていると、自然と会話の間にも「これ、好きかも」「思ったより甘いね」と短い感想が挟まる。
まだ焼いたり煮たりはしない。刺身をつまみながら話しているうちに、その先に待っている食べ方まで少し楽しみになってくる。
ひと通り味わったところで、テーブルの上にはまだ次のカニが残っている。
「今度は焼いてみようか」
一度食べ終わるのではなく、ここからもう一度違う楽しみが始まる。
焼き蟹や鍋に変えると、味も会話も変わっていく

生ずわいや生たらばを焼き始めると、さっきまでとは食卓の様子が少し変わる。
温まった身から香りが立ち、殻を外して口に運べば、刺身とは違う歯ごたえと温かさ。同じカニを続けて食べているのに、別の料理に移ったような感覚がある。
「刺身と焼いたの、どっちが好き?」
そんな話が始まるのも、この食べ方ならではだ。刺身派、焼き蟹派と好みが分かれたり、「次は鍋に入れてみたい」と別の食べ方が候補に上がったりする。
すべてを凝った料理にする必要はない。焼く、鍋に入れる。それだけでも、刺身で味わったときとは違う一皿になる。
そのまま食べられるカニと、加熱して楽しめるカニが同じ食卓にあると、「次はどうする?」が自然に続いていく。食べ方が変わるたび、夕食にも小さな区切りが生まれる。
食べ方を変えるだけで、一晩のカニがもっと楽しくなる

夕食も終盤。中央に置かれていたカニはだいぶ減り、それぞれの皿には食べ終えた殻が残っている。
最初に食べた刺身の話をしながら、最後の焼き蟹をつまむ。「やっぱり焼いたほうが好き」「いや、最初の刺身もよかった」と、さっきまでの食べ方を振り返る時間も楽しい。
刺身から始まり、途中で焼き蟹や鍋へ。特別なコースを用意したわけではないのに、食べ方が変わったことで、一度の夕食にいくつかの場面ができていた。
そのまま食べられるカニと、加熱して楽しめるカニがあれば、「次はどう食べよう」と考えることまで夕食の一部になる。次に選ぶならどんな組み合わせにしようか。食べ終わったあとの話題まで、もう次のカニの日へ向かっている。
次のカニの日は、刺身と焼き蟹を一度に楽しめる組み合わせを探してみるのもいい。