人が集まる日の食卓を考えると、つい「何を何品作ろう」と考え始める。
サラダに前菜、温かい料理をいくつか。そうやってメニューを増やすのも楽しいけれど、今日は少し違う形にしてみる。
食卓の主役は、大きなリブロースが一枚。それをみんなで囲む。
大きな一枚肉を、食卓の主役にしてみる

焼く前の肉を出すと、その大きさにまず目が止まる。
1000g前後のリブロースは、一人分ずつ皿にのせる肉とは見え方が違う。今日はこれを切り分けて食べよう、と決めるだけで、食卓の組み立てもずいぶんシンプルになる。
肉を焼いているあいだに、飲み物を用意したり、簡単な付け合わせを並べたりする。品数を増やすことより、焼き上がる一枚を待つ時間のほうが自然と中心になっていく。
「これ、全部焼くの?」
そんな声が出るくらいの大きさも、この日のちょっとした楽しみだ。
みんなの前で切り分けると、自然に会話が始まる

焼き上がった肉を、大きな皿のままテーブルへ運ぶ。
まだ切り分けていない一枚肉が置かれると、それまで飲み物や別の話に向いていた視線が、ふっと中央へ集まる。
ナイフを入れて最初の一切れを開く。
「そのくらいがいい」
「私はもう少し薄めで」
「端のところ、もらっていい?」
誰かが取り分け役になり、ほかの人は自分の一切れを待つ。最初から人数分に分けておく食事にはない、短いやり取りが続いていく。
一枚を切り分けるから、同じ肉を囲んでいても取り方はそれぞれだ。しっかり食べたい人は大きめに、まず少しだけという人は小さめに。
一つを囲むだけでも、ホームパーティーらしくなる

食べ始めると、切り分けた肉は少しずつ小さくなっていく。
「もう一切れいく?」
「じゃあ今度は、そのあたりを」
そんなやり取りをしながら、好きな量を追加する。大皿から取り分けるたびに、誰かの手が中央へ伸びる。
何種類もの料理が次々に出てくるわけではない。それでも、一枚の肉をみんなで見て、切って、選んで、食べるだけで、食卓には十分に動きがある。
途中からは、最初に思っていた「何品あればいいだろう」ということも、あまり気にならなくなっている。
必要だったのは、たくさんの料理というより、みんなが同じものへ手を伸ばせる一品だったのかもしれない。
次に友人や家族が集まる日、料理の数を考え始める前に一度だけ、「大きな一品をみんなで分けるなら、何が楽しそうだろう」と考えてみる。