ステーキを焼く日は、いつもの売り場で、いつもの感覚で牛肉を選ぶことが多い。
そんな日に、もう一種類だけ違う牛肉を加えてみる。用意したのは、普段食べている牛肉とアルゼンチン産のリブロース。
せっかくなら、どちらも同じように焼いて食卓へ。「どっちが好き?」と話しながら、ひと口ずつ比べてみる。
いつもの牛肉にもう一種類、食べ比べのステーキを並べる

フライパンに二種類の牛肉を並べると、いつものステーキの日が少しだけ違って見える。
片方は普段から食べ慣れている牛肉。もう片方はアルゼンチン産リブロース。どちらも同じように焼き、切り分けて一つの皿に並べる。
「こっちがいつもの。こっちがアルゼンチン牛」
それだけで、食卓にちょっとしたお題ができた。
見た目を比べたり、焼いた香りを確かめたりしながら、まずは一切れずつ。採点表も詳しい知識もいらない。食べて気づいたことを、そのまま口にしてみる。
普段なら一枚のステーキを食べて終わるところが、二種類あるだけで「何が違うんだろう」と自然に目が向く。
ひと口ずつ比べると、「どっちが好き?」が自然に始まる

まず、いつもの牛肉をひと口。そのあとにアルゼンチン産リブロースを食べてみる。
「あ、けっこう違う」
最初に出てくるのは、そんな短いひと言かもしれない。
アルゼンチン産リブロースは赤身の印象がしっかりしていて、噛んでいると肉そのものの存在感が残る。そこで、もう一度いつもの牛肉へ戻ってみると、今度は脂の感じ方や口当たりの違いにも目が向く。
一種類だけ食べていたときには、そこまで気にしていなかったところだ。
「私はこっちかな」
「こっちは肉を食べてる感じがする」
「でも、いつものほうもやっぱり好き」
誰かがそう言うと、別の人ももう一切れ取って確かめたくなる。さっきとは逆の順番で食べてみたり、「やっぱりこっちかも」と答えを変えたり。
意見が揃わなくても、それがそのまま会話になる。
どちらが上かを決めるより、「自分は何をおいしいと思うんだろう」と皿の上を行き来する。そのくらいの気軽さが、食べ比べにはちょうどいい。
食べ比べると、自分が好きな牛肉の違いが見えてくる

食べ終わるころには、「結局どっちだった?」という話になる。
赤身の肉らしさが好みだった人もいれば、いつもの牛肉の味わいに戻ってくる人もいる。最初と最後で答えが変わることだってある。
「自分は、こういう牛肉が好きなのかもしれない」
そんなひと言が出ると、次に牛肉売り場を見たとき、産地や肉のタイプにも少し目が止まりそうだ。
いつもの一枚を選ぶだけだったところに、「今度は何と比べてみよう」という楽しみが増える。
「次は別の産地でもやってみる?」
食べ終えた皿を片づけながら、そんな話が出たら、それくらいがちょうどいい。
次にステーキを焼く日には、いつもの牛肉の隣に、違う産地やタイプの牛肉をもう一種類。
今回のように赤身の印象が違う一枚なら、ひと口目から比べる面白さが見つかりやすい。
「どっちが好き?」
その一言から、いつものステーキが少し違って見えるかもしれない。