鏡の前でふと、「今の姿も残しておこうかな」と思う日がある。特別な撮影ではなく、いつもの服を着た、いつもの自分。
そんな一枚が、少し先の未来では思いがけず大切な写真になるかもしれない。
妊娠中のいつもの姿を、一枚残しておく

よく着ているブラウスに袖を通して、出かける前や家で過ごしているときに一枚だけ写真を撮る。
きれいにポーズを決めなくてもいい。スマートフォンを家族に渡して撮ってもらったり、鏡越しに残したり。その日の暮らしの延長にある写真で十分だ。
ふんわり広がるブラウスは、大きくなったお腹の時期にもいつもの一着として手に取りやすい。その姿まで写真に残ると、「この頃、これをよく着ていたな」と服ごと思い出せそうだ。
撮った直後は、特別な写真には見えないかもしれない。それでも消さずに残しておく。
産後に同じブラウスを着ると、暮らしの変化が見えてくる

しばらくたったある日、クローゼットであのブラウスを見つける。
手に取ってみると、今の自分にもまだ自然に着られそうだ。あの頃と同じブラウスに、もう一度袖を通す。そして今度は、赤ちゃんと一緒に一枚。
妊娠中の写真を横に並べると、最初に目に入るのはお腹の違いかもしれない。でも、見ているうちにそれだけではなくなってくる。
立っている場所は似ていても、腕の中には赤ちゃんがいる。表情も少し違う。同じブラウスが二枚の写真にあることで、その間に起きた変化がかえってよく見える。
「同じ服なのに、ずいぶん違うね」
そんなひと言が、写真を囲む会話のきっかけにもなりそうだ。
何気ない一枚が、あとから大切な記録になる

二枚を並べてみると、最初の写真を撮った日のことまで少しずつ戻ってくる。
あのときは、数か月後にどんな毎日を過ごしているのか、まだ分からなかった。何気なく選んだ服も、何気なく撮った一枚も、今見るとちゃんとその時期の自分を残している。
記念になる写真を撮るなら、特別な日でなくてはいけない。そんなふうに考えなくてもいいのかもしれない。
同じ一着で、少し時間をあけてもう一枚撮ってみる。服は変わらなくても、その隣にいる人や自分の表情は、きっと同じではない。
妊娠中によく着ている一着があるなら、今日の自分を一枚だけ撮って残しておく。産後にも同じ一着を着られたら、その写真を並べて見返す楽しみが、もうひとつ増えそうだ。