離れて暮らす家族へ食べ物を贈ると、「届いたよ」「ありがとう」と連絡をもらって、そこでひと区切りになることが多い。
今回は、家族にフライのセットを送り、自分の家でも同じものを食べておく。次に話すとき、何かひとつ話題が増えたらいい。
離れていても、同じフライを食べてみる

家族に荷物を送った数日後、自分の家でも冷凍庫からフライを取り出した。
相手の家にも、いま同じものが入っている。
何種類かある中から選んでいると、「向こうは何から食べるだろう」とふと思う。自分はまず、メンチを揚げてみた。
食べながら、特別なことをしている感じはない。ただ、離れた場所にいる家族と同じものを食べているという小さな共通点が残る。
ギフトとしてそのまま相手へ送れるものだから、こちらで特別な準備をする必要もない。届けたあとは、それぞれの家で好きなときに食べればいい。
その自由さもちょうどよかった。
「どれが好きだった?」から感想が広がる

何日かして電話をしたとき、ふと思い出して聞いてみた。
「そういえば、どれが好きだった?」
返ってきたのは、「メンチかな」という予想通りの答えではなく、「たまごコロッケが意外とよかった」というひと言だった。
「え、そっちなんだ」
自分とは違う答えがおかしくて、ほかには何を食べたのか聞いてみる。
7種類あると、同じセットを食べていても選ぶ順番や好きなものは少しずつ違う。「私はこれ」「それはまだ食べてない」と話しているうちに、贈ったものの話だけで会話がしばらく続いた。
味の好みなんて、家族でも案外知らないものだ。
何を食べたかを聞くだけなのに、近況を尋ねるのとはまた違う話が出てくる。そのくらいの軽さが、かえって話しやすかった。
次に食べたものが、また会話のきっかけになる

さらに数日たって、今度はメッセージが届いた。
「今日はコロッケ食べた」
前に話したことを覚えていたから、「どうだった?」とすぐ返せる。
一度で食べ切る量ではないので、それぞれの家の冷凍庫にはまだ続きがある。今日はこれ、次はあれ。食べる日が違えば、話すきっかけも一度では終わらない。
こちらも次に何を食べようか冷凍庫をのぞきながら、「向こうはもうこれを食べただろうか」と少し考えるようになった。
離れているから、同じ食卓を囲むことはできない。けれど、それぞれの家で同じものを食べて、あとから答え合わせをすることならできる。
「次は何を食べた?」
そんな何気ないひと言が、また次の会話になる。
次に家族へ食べ物を贈るときは、自分の分も一緒に用意してみる。何を選ぶか迷えるくらい種類があると、そのあとの話も少し楽しみになりそうだ。