夕食の支度ができたら、揚げたフライを何種類か大皿へ。今日はひとつだけ、いつもと違うことをしてみる。どれが何のフライなのかは、食べるまで内緒だ。
中身を伏せて並べると、食べる前から予想が始まる

食卓に並んだフライを見て、家族の視線が少し止まる。
「これ、どれが何?」
そう聞かれても、まだ答えは言わない。「食べて当ててみて」と返すと、さっそく大皿をのぞき込む顔が増えた。
形や衣だけでは、中身まではなかなか分からない。似て見えるものが並んでいるからこそ、「こっちがクリーム系かな」「これはメンチっぽくない?」と、箸を伸ばす前から予想が始まる。
夕食に新しい料理を増やしたわけではない。ただ、名前を伏せただけ。それなのに、いつもの「どれを食べる?」が、「何が入っていると思う?」に変わっている。
どれにしようか迷う時間まで、今日はちょっとした遊びになる。
ひと口ごとの味を手がかりに、中身を当ててみる

「これ、カニクリームじゃない?」
ひと口食べた誰かが言うと、隣から「え、たまごじゃない?」と別の答えが返ってくる。
やわらかなベシャメルソースを感じるものもあれば、たまごにえびやハムが合わさったもの、肉の味がしっかり分かるメンチもある。外からは似て見えていたのに、ひと口食べると、味や具材にはちゃんと違いがある。
「さっきの予想、違ったかも」
そんなふうに途中で答えを変えるのも、この食べ方ならでは。
「ほんとにそうかな」ともうひと口。隣の感想を聞けば、さっきの予想が揺らぐこともある。
普段なら「おいしい」で終わるところを、今日は少しだけ味の中身まで探している。何種類かそろっているから、次はどんな味だろうと、自然に別の一個へ手が伸びる。
答え合わせのあとも、家族の感想が続いていく

ひと通り食べたところで答えを明かすと、「やっぱり!」と声が上がるものもあれば、「そっちだったの?」と意外そうな顔になるものもある。
けれど、そこで終わりではない。
「私はこれが一番分かりやすかった」
「次に食べるなら、さっきのクリームのやつかな」
「メンチはすぐ分かったよ」
正解した数より、そんな感想のほうがあとまで続く。
同じ大皿から食べていても、気づく味も、好きだった一個もそれぞれ違う。その違いを聞いているうちに、食卓にはまだ話すことが残っている。
特別なゲームを用意しなくても、何種類かのフライと「中身はまだ内緒」のひと言があればいい。いつもの夕食に、ちょっとした答え合わせの時間が加わる。
次に家族で試すなら、中身の違うフライをいくつか並べて、ひと口目までは名前を内緒にしてみる。どんな組み合わせなら盛り上がりそうか、選ぶところから楽しめそうだ。