スマホの写真を見返して、「いちばんこの子らしい一枚」を家族で選ぶ夜

夜のリビングで、ソファに座った二人が愛犬と一緒にスマホの写真を見返している。

夕食も片づいて、少しゆっくりできる夜。スマホの写真フォルダを開くと、そこには今日の写真も、ずっと前に撮った写真も並んでいる。

「これ、懐かしいね」と眺めているうちに、ふとこんな話になった。

「この子らしい一枚を選ぶなら、どれだろう?」

いつもの写真フォルダなのに、そのひと言で見るところが少し変わってくる。

「かわいい」より「この子らしい」で写真を見返す

ソファに座った二人が、スマホに並ぶ愛犬の写真を見ながら一枚を指さして選んでいる。

最初に目に入るのは、やっぱりきれいに撮れた写真だ。カメラ目線で座っている一枚、陽の当たる場所で気持ちよさそうにしている一枚。

「これ、かわいい」

そう言いながら何枚か送っていると、少し先で指が止まった。

お洋服を着せてもらったものの、どうにも納得していなさそうな顔。写真としては完璧とは言いにくい。でも、家族の誰かが笑う。

「こっちのほうが、この子っぽくない?」

そこからは、カメラを見ていない横顔も、変な格好で寝ている姿も候補に入ってきた。

普段ならそのまま通り過ぎていた写真にも、ふと指が止まる。

一枚の写真から、あの頃の癖や出来事を思い出す

愛犬のそばで、二人がスマホの昔の写真を見ながら話している。

少し前までさかのぼると、同じ場所で撮った写真が何枚も出てきた。

「あ、この頃ここでよく寝てたよね」

「そうそう。呼んでも全然動かなかった」

一枚を見ていたはずなのに、話は撮った日のことへ、その頃よくしていた仕草へと広がっていく。

まだ小さかった頃の写真では、今とは少し違う顔つき。お気に入りだったおもちゃが写り込んでいたり、いつも使っていた毛布が端に見えていたりする。

写真を撮ったときには特に気にしていなかったものまで、「これも懐かしい」と拾い上げていく夜。

候補はなかなか一枚に絞れない。

「こっちも捨てがたいな」と、また少し前の写真へ戻っていく。

作品に残すなら、どの表情を選びたい?

二人がスマホに表示した愛犬の写真と、そばに置かれた愛犬の似顔絵キャンバスを見比べている。

似顔絵キャンバスにする一枚を選ぶとなると、もう一度候補を見比べたくなる。

アーティストに描いてもらうなら、きれいに撮れた一枚より、見た瞬間に「あ、この顔」と思える表情がいい。

家族でもう一度、候補の写真を並べてみる。

きれいに座っている一枚もいい。でも、最後まで目に残ったのは、ちょっと不機嫌そうな顔だった。

「やっぱり、これかな」

その表情を見るだけで、普段の様子まで思い出せる。その一枚が絵になったら、どんなふうに見えるのだろう。

写真を選び終わったあとも、ついもう一度画面を見てしまう。

スマホの中には、「いちばんかわいい」とは少し違う、うちの子らしい写真が眠っているかもしれない。

今夜、写真フォルダを少しだけさかのぼって、「この子らしい一枚ならどれ?」と探してみる。