ふとスマホの写真を見返していると、きれいに撮れた一枚よりも、なぜか何度も目に留まる写真がある。
笑い方や立ち方、その場の空気まで含めて、「なんだか今の私たちらしい」と思える一枚。そんな写真を、いつもとは少し違う形で残してみる。
「今のわが家らしい」と思える写真を一枚選ぶ

休日の午後、ソファに座ってスマホの写真を少しさかのぼってみる。
旅行先で撮った写真。誕生日の写真。何気ない夕食のあとに撮った写真。似たような家族写真が並んでいるのに、見ていると自然に指が止まる一枚がある。
全員がきれいにカメラを向いているわけではない。誰かが少し横を向いていたり、子どもだけ妙に楽しそうだったり。それでも見返すたび、「これ、うちらっぽいね」と言いたくなる。
家族写真を一枚選ぶとなると、つい一番よく撮れているものを探したくなる。でも、飾りたいのは必ずしも完璧な一枚ではないのかもしれない。
その頃によく着ていた服や、いつもの笑い方まで思い出せる写真。選んでいるうちに、写真の出来栄えとは別のところにある「家族らしさ」が見えてくる。
いつもの家族写真が、飾りたくなる一枚の絵になる

選んだ写真をもとに、プロの似顔絵作家に家族の姿を描いてもらう。
元になっているのは、さっきまでスマホの画面で見ていた写真。それなのに、完成した絵を目の前にすると、見慣れた表情が少し違って見える。
「あ、この笑い方、ちゃんと残ってる」
見慣れた家族の表情なのに、描く人の手を通した一枚になると、いつもの写真とは少し違う気持ちで眺めてしまう。
額に入れてリビングに置いてみると、その違いはさらに分かりやすい。
スマホの中にあったときは、思い出そうとしたときに開く写真だった。今は、部屋を歩いていれば自然に目に入る。
「残しておきたい」だけではなく、「飾っておきたい」。
そんな気持ちが生まれるのも、家族写真が似顔絵になる面白さなのかもしれない。
部屋で眺めるたび、家族の今を思い出せる

飾ったばかりの頃だけ目に留まるのかと思っていたら、日がたっても、ふと視線が向く瞬間がある。
朝、出かける前に横を通ったとき。夕方、買い物袋を置いたとき。テレビを見ながら何となく視線を上げたとき。
似顔絵はずっと同じ場所にある。
「あの写真、この前の夏だったよね」
誰かがふと口にすれば、そのときの話が少しだけ続くこともある。大げさに思い出を振り返るわけではない。ただ、暮らしの途中で家族の一場面が何度も目に入る。
時間がたてば、髪型も服も、子どもの背丈も少しずつ変わっていく。それでも絵の中には、その一枚を選んだときの家族がいる。
特別な節目だけを残すのではなく、何でもない「今」を飾っておく。そんな残し方があってもよさそうだ。
スマホを少しさかのぼってみると、いつか飾って眺めたいと思える一枚が見つかるかもしれない。