両親の誕生日や長寿祝いが近づくと、「今年は何を贈ろう」と考える時間が始まる。
新しいものを探す前に、ふと昔のアルバムを開いてみるのもいい。そこには、今よりずっと若い父や母の姿。見ているうちに、贈り物を探していたはずなのに、いつの間にか写真そのものが気になってくる。
昔の写真を見返すと、贈りたい一枚が見えてくる

アルバムをめくっていると、つい手が止まる写真がある。
少し照れたように並んでいる二人。旅行先らしい場所で笑っている一枚。今では見慣れない服装に、「こんなの着てたんだ」と笑ってしまうこともある。
「このころのお父さん、若いな」
「お母さん、この写真いい顔してる」
そんなことを話していると、写真の前後にあった出来事まで少しずつ思い出されてくる。
最初は祝いの品を探していただけなのに、いつしか気になるのは「何を贈るか」より、「どのころの二人を選びたいか」。
完璧に写っている写真でなくてもいい。家族だからこそ目に留まる表情や、その一枚を見ると浮かんでくる話がある。そうして眺めているうちに、「これがいいかも」と思える一枚が残っていく。
選んだ写真が似顔絵になると、昔の二人を新しく楽しめる

選んだのは、何度も見たことのある昔の写真。
けれど、その一枚をもとにプロの作家が似顔絵として描くと、見慣れていたはずの二人が少し違って見えてくる。
写真の中では背景や服装にも目がいっていたのに、似顔絵を前にすると、まず気になったのは二人の顔だった。
「あ、この笑い方、お父さんっぽい」
「お母さん、このころから雰囲気変わってないね」
写真をそのまま飾るのとは違って、知っている姿をもう一度眺め直すような面白さがある。
昔の二人を懐かしむだけではなく、今の家族が楽しめる形にして贈りたい。写真を選んでいるうちに、そんな気持ちも見えてくる。
似顔絵をきっかけに、写真のころの話がまた始まる

似顔絵を渡したあと、元になった写真をもう一度開いてみる。
「これ、どこで撮ったんだっけ」
「このとき、まだ結婚したばかりだったんじゃない?」
そこから始まるのは、似顔絵そのものの感想だけではない。
「この旅行は電車で行った」
「この服、気に入ってよく着てた」
「このころはこんな家に住んでた」
聞いたことのある話もあれば、初めて知る話もあるだろう。
似顔絵を見たあとに元の写真を開くと、「そういえば、このときね」と、そこからまた話が続いていく。
そう考えると、贈る一枚を選んでいた時間も含めて、ひとつの贈り物なのかもしれない。
実家のアルバムやスマートフォンにある昔の写真を、少しだけ見返してみる。
「今、両親に贈るならどの一枚にするだろう。」
一枚決まったら、その表情が似顔絵になったところまで想像してみる。それだけでも、いつもの写真が少し違って見えてきそうだ。