友人との食事や、職場でひと息つく時間。スマホをテーブルに置くのは、いつもの何気ない動作だ。
ペットの写真はスマホの中にたくさん入っていても、こちらから話題にしなければ、そのまま出番がないことも多い。
けれど、ケースに描かれたうちの子の似顔絵がふと目に入ると、そこから思いがけず会話が始まることがある。
スマホを置いたら「この子、飼ってる子?」と会話が始まる

ランチの途中、テーブルの端にスマホを置く。
向かいに座っていた友人が、ケースをちらっと見てから手元を止めた。
「これ、飼ってる子?」
見ると、指さしているのはケースに描かれたペットの似顔絵。
「そう。うちの子」
たったそれだけで、いつもの雑談にひとつ新しい話題が加わった。
自分から「うちの子見て」とスマホを差し出したわけではない。ただ、いつも使っているものを置いただけ。そこにその子らしい顔があるから、相手のほうから気づいてくれた。
写真フォルダを開くより先に、うちの子の話が始まっている。
「何歳?」「どんな性格?」から、うちの子の話が広がっていく

「何歳なの?」
「もうすぐ5歳。意外と人見知りなんだよ」
ひとつ質問されると、今度はこちらも話したくなってくる。
寝るときだけ妙に甘えてくること。おやつの袋の音にはすぐ気づくこと。散歩では決まった場所で立ち止まること。
「この前なんてね」と言いながら、スマホの画面を開く。写真フォルダを少しスクロールして、その話にぴったりの一枚を探す。
「あ、ほんとだ。似てる」
ケースと写真を見比べながら笑われる。
「この子、実はこういう顔もするんだよ」
そう言いながら、今度は自分からもう一枚探している。
いつものスマホケースが、うちの子を話すきっかけに見えてくる

会話が別の話題へ移ってから、テーブルの上のスマホをもう一度見る。
さっきまでは、いつものケースだった。
それが少しだけ、「この子のことを知ってもらう入口」のようにも見えてくる。
ふと、スマホの中の写真を見返したくなった。
似顔絵にするなら、どの一枚だろう。
正面を向いたきれいな写真より、少し首をかしげている顔のほうが、この子らしいかもしれない。
スマホの写真フォルダを開いて、「この子らしい」と思う一枚をひとつ選んでみる。それだけなら、今日からでも試せそうだ。