ランドセルに筆箱、上履き、名前を書いた文房具。入学や進級の前は、学校で使うものが少しずつ「自分のもの」に変わっていく。
そんな時期、家の中を見渡すと、毎日使っているのに、これまであまり選ぶことを意識してこなかったものもある。
たとえば、まくら。
学校へ持っていくものではないけれど、小学生になる節目に「自分専用」を一つ増やしてみるのも、ちょっと楽しそうだ。
学校の準備だけじゃない。家で使うものにも「小学生の自分」を見つける

新しい文房具を机に並べているとき、ふと寝室にも目が向く。
毎晩使っているまくらは、家にあったものをそのまま使っていたり、大人のものと似たものだったり。特に困っているわけでもなく、改めて選ぶきっかけもなかった。
でも、せっかくならこれも「自分のもの」にしてみる?
そう声をかけてみると、学校用品を選んでいたときとは少し違う顔で、子どもがまくらを見る。
ランドセルのように外へ持っていくものではない。友だちに見せるものでもない。それでも、毎晩、自分の場所にあるものだ。
「じゃあ、まくらも選んでみる?」
学校の準備から少し離れて、今度は家で使うものを選ぶ時間が始まる。
「これがいい」と選ぶと、まくらが自分専用のものになる

並んだ色を見せると、子どもの視線が行ったり来たりする。
「どれにする?」
すぐ決まるかと思えば、意外とじっくり。好きな色を指さしたあと、もう一度ほかの色も見て、それから「やっぱりこれ」と戻ってくる。
選んでいるのは、6〜12歳向けにつくられた「呼吸する小学生のまくら」。子ども向けのまくらだからこそ、「家にあるまくらの中から使う」のではなく、「自分のための一つを選ぶ」という場面が自然に生まれる。
色を自分で決められるのも、その時間を少し楽しくしてくれる。
「これ、わたしの?」
「そう。今日から自分のまくら」
子どもは手にしたまくらを、もう一度見直す。
自分で選んだまくらが、毎晩の「小学生になった実感」になる

夜になって、選んだまくらをいつもの寝床へ置いてみる。
ランドセルは翌朝になれば背負って学校へ行くけれど、まくらはここに残る。寝るときも、朝起きたときも、自分の場所にある。
「こっち向きに置こうかな」
そんなふうに位置を少し直してみたり、布団に入る前にもう一度眺めたり。特別なことをするわけではないけれど、自分で選んだものだから少しだけ扱い方も変わる。
入学式の日だけで終わらない、小学生になった印。
毎晩そのことを意識するわけではない。それでも、自分で選んだまくらは、そのままいつもの寝床に残っていく。
今夜、いつものまくらを見ながら、子どもにひとこと聞いてみる。
「自分で選ぶなら、どんな色のまくらがいい?」